保険営業がきつくて転職した話 ― 半年で辞めて分かったこと

「保険営業 きつい」で検索してこのページに来た人へ。結論から言う。辞めたことを後悔したことは一度もない。ただし、「なんとなく辞める」のは危険だ、という話も併せてしておきたい。これから保険営業を始めようとしている人にも、読んでから決めてほしい話がある。

一番きつかったのは、ノルマじゃなかった

保険営業と聞くと、ノルマのプレッシャーや飛び込み営業のつらさを想像する人が多いと思う。もちろんそれもあった。でも自分にとって一番きつかったのは違う。知人への営業だった。

保険業界では、知人・友人への営業自体はよくある話だ。自分がいた会社にも「自分の周りの人を救えない人間が、より多くの人を救えるわけがない」という考え方があった。この考え方に自分も共感していた。多少の反発があっても、ちゃんと話せば分かってもらえる。周りから「メンタルが一番の取り柄」と言われるくらい精神的な自信もあったので、正直、最初はまったく気にしていなかった。

前職の焼肉屋で店長をしていた時、よく家に招いてくれるくらい仲良くしていたお客さんがいた。保険営業に転職してから、その人にも声をかけた。結果、態度が一変した。「裏切り者」「こんなやばい奴だと思わなかった」とまで言われた。それでも、まだ「話せば分かる範囲」だと思っていた。

別の相手では、前職の焼肉屋時代にお世話になった先輩にも声をかけた。今まで自分のことをずっと気にかけてくれていた人だったので、話だけは聞いてくれた。でも、聞いてくれるだけだった。買うでも断るでもなく、ただ義理で時間を作ってくれている。そのやり取りの間、「本当にこれでいいのか」という、何とも言えない感情がずっと残っていた。

想定を超えたのは、地元の知人から、お酒の席で殴られた時だった。人生で初めて、人に殴られた経験だった。

「話せば分かる」で済むと思っていた反発が、そこまでの感情を生んでいたという事実に、そこで初めて事の重さを実感した。

「今、何してるの?」と詰められた

追い打ちをかけたのは、周りの反応だった。トレーナー専門学校まで出ておきながら保険業界に転職した自分に対して、知人から「何で今保険やってるの?」「トレーナーやるって言ってたのに何してるの?」と何度も聞かれた。

一番堪えたのは、地元で一番長く付き合いのある親友からも同じことを言われた時だった。周りの誰よりも自分のことを知っているはずの相手にすら、「何をしているんだ」と疑問視される。それくらい、当時の自分の選択は傍から見て筋が通っていなかったということだと思う。

正直に言うと、これは的を射た疑問だった。

保険は「素晴らしい仕事」だと思っていた

ここまで読むと、保険営業という仕事自体を否定しているように見えるかもしれない。でもそれは違う。

保険は、その人の万が一の時に助けてくれるヒーローのような存在だと今でも思っている。制度としても、それを扱う人としても、本来はとても尊い仕事だ。自分がいた会社は「お客様のライフプランコンサルタントであれ」という考え方を大事にしていて、この理念自体は今でも好きだ。

だからこそ、きつかった。そんな尊いものに、「勉強のつもり」という中途半端な気持ちで手を出してしまった自分が情けなく、場違いに感じた。

もともと「勉強のつもり」で入った

保険営業を選んだ理由は、正直に言うと「営業の経験を積みたい」という勉強目的だった。スポーツに関わって大きいことをしたい、という軸は変わらずあったが、その手前で営業スキルを身につけておきたい、という発想だった。

でも半年やってみて分かったことがある。保険は、人の人生の万が一を預かる仕事だ。その重みに見合う覚悟もなく、「環境を変えれば学べる」という理由だけで足を踏み入れていい仕事ではなかった。知人に殴られた経験は、そのことを痛いほど教えてくれた。

本当に大事なのは、環境を変えることじゃなく、学ぶという行動そのものだった。どこでやるかじゃなく、何をやるか。これに気づけたのは、遠回りをしたおかげでもある。

トレーナーに戻ると決めた理由

辞めると決めた時、迷いはなかった。もともとスポーツに関わって何か大きいことをしたい、という軸はずっと変わっていなかったし、トレーナー専門学校で学んだ土台もすでにあった。

「勉強のために遠回りする」のをやめて、「トレーナーを続けながら、必要な学びはその中で積んでいく」方向に切り替えた。

ただ、保険営業で得たものが何もなかったわけではない。「お客様のライフプランコンサルタントであれ」という考え方は、今でも自分の中に残っている。今のトレーナーの仕事も、種目やメニューを教えるだけでなく、お客様の体のコンサルタントであろうと思いながら続けている。半年という短い期間だったが、そこで出会った考え方が、今のキャリアの軸の一部になっている。

保険営業がきついと感じているあなたへ

もし今、保険営業がきつくて「辞めようか」と悩んでいるなら、一つだけ聞いてみてほしい。

そのきつさは、「向いてない」のか、「今の状況が特殊にきつい」のか、それとも「その仕事の重みに見合う覚悟を、まだ持てていないだけ」なのか。

自分の場合は3つ目だった。「勉強のため」という曖昧な目的で、人の人生を預かる重い仕事に足を踏み入れてしまったことが、一番の反省点だった。

辞めること自体は、まったく悪いことじゃない。ただ、次に何を積み上げるかを決めてから動いた方がいい。自分は5回の転職を経て、ようやく「これだ」と思える場所に辿り着いた。

これから保険営業を始めようとしているあなたへ

これから保険業界に入ろうとしている人にも、同じことを伝えたい。

保険は、人の人生の万が一を預かる仕事だ。自分のように「営業経験を積むため」という軽い気持ちで踏み込むと、知人や大切な人間関係を巻き込んで、想像以上のものを失うことになりかねない。

始める前に、一度だけ自分に聞いてみてほしい。「自分はこの仕事の重みに見合うだけの覚悟を持てているか」。持てているなら、保険は本当に人を救えるいい仕事だと思う。少しでも迷いがあるなら、覚悟が固まるまで踏み込まない方がいい。それくらい重い仕事だということを、自分は身をもって学んだ。

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